11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行された。内閣官房等が令和3年に共同で実施した「フリーランス実態調査」によると、フリーランスの約4割が報酬不払い、支払遅延などのトラブルを経験しており、同じく約4割が記載の不十分な発注書しか受け取っていないか、そもそも発注書を受領していないことが分かっている。一般に「個人」であるフリーランスは、「組織」である発注事業者よりも弱い立場に置かれやすい。そのため本法では、発注事業者に対して「フリーランスの就業環境の整備」や「取引の適正化」などを義務付けている。
「フリーランスの就業環境の整備」として、具体的には①給付の内容、報酬の額等を書⾯⼜は電磁的⽅法により明⽰すること、②特定受託事業者の給付を受領した⽇から60⽇以内の報酬⽀払期⽇を設定し、⽀払うことなどを定めているほか、「責めに帰すべき事由のない報酬の減額や返品」など7つの行為を禁止している。また、「取引の適正化」としては、①募集広告に虚偽の表⽰等を行わないこと、②募集広告の内容は正確かつ最新の内容に保つこと、③育児介護等と両⽴して業務を⾏えるよう、申出に応じて必要な配慮をすること、④(発注担当者による)ハラスメント⾏為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じること、⑤継続的業務委託を中途解除する場合には、中途解除⽇等の30⽇前までに予告を行うことなどを義務付けている。
11月も中盤に差し掛かり、税制改正をめぐる議論が大詰めだ。今年は、先の衆院選で影響力を増した国民民主党が「103万円の壁」の是正を要求しているため、そちらばかりが注目されているが、その裏で政府と財務省は、今年も退職金課税の見直し=縮小を狙っている。
過去の税制改正大綱や政府税制調査会の資料には「退職金や私的年金の給付に係る課税について、給付が一時金払いか年金払いかによって税制上の取扱いが異なり、給付のあり方に中立的ではないといった指摘がある」「退職金課税については、現行の勤続20年を境に1年当たりの控除額が急増する仕組みや勤務年数が短期間でも退職金に係る所得の2分の1にしか課税されないという仕組みを見直し、全体として多様な就労選択に中立的な制度とすることが求められている」といった文言がたびたび登場し、この時期になると改正論が毎年のように噴き上がる、もはや恒例行事のようなもの。
ただ、ここ数年は与党自民党が支持率を落としたことや、昨年は「増税内閣」といった批判を気にした結果、直前で見送られてきた経緯がある。
退職金課税の縮小は、納税者のライフプランや相続問題、中小企業の事業承継にも影響する大きな改正となるだけに、令和7年度税制改正で実現するのか、その動向を注視しておく必要があるだろう。
(日本ビズアップ株式会社 発行「NEWSWAVE」より)