令和6年「労働安全衛生調査」メンタル不調 企業規模で格差鮮明

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第510号(2025年9月15日発行)

令和6年「労働安全衛生調査」メンタル不調 企業規模で格差鮮明

厚生労働省はこのほど、令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」を公表した。調査によると、メンタルヘルス不調により1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は12.8%で、前年の13.5%からわずかに減少した。規模別に見ると、1,000人以上の大規模事業所では9割を超えて該当者がいたのに対し、30人未満の小規模事業所では1割未満にとどまっている。労働者ベースでは、休業者が0.5%、退職者が0.2%で、前年とほぼ横ばいだった。

事業所のメンタルヘルス対策については、63.2%が取り組んでおり、前年とほぼ同水準で推移した。50人以上の事業所では9割超が対応している一方、10〜29人規模では55.3%にとどまった。取組内容としては「ストレスチェックの実施」が最も多く65.3%に上り、次いで「職場環境の評価・改善」が54.7%だった。ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果を集団単位で分析した割合は75.4%に達し、その分析を活用した割合は76.8%と、前年よりやや改善がみられた。また、産業保健の取組を行う事業所は89.8%で、前年の87.1%から増加した。その内容は「健康診断結果に基づく保健指導」が75.1%で最多、次いで「メンタルヘルス対策」が71.3%だった。労働災害防止に関しては、転倒防止の物理的対策に取り組む事業所が77.7%と大半を占める一方、身体的要因に配慮した対応や体力づくりへの取組は1割程度にとどまった。

デジタル時代の遺言制度に向けて 法制審議会が中間試案を公表

下法務省の法制審議会民法(遺言関係)部会が、「民法(遺言関係)等の改正に関する中間試案」を取りまとめた。

今回の試案は、デジタル社会の進展や高齢化の加速を背景に、遺言制度をより使いやすくし、遺言者の意思を確実に実現することを目的としている。従来の自筆証書遺言や公正証書遺言などに加え、PCやスマートフォンを利用した電磁的記録による新たな遺言方式の導入が検討されており、その具体案として三つの方式が提示されている。

第一の甲案は、遺言を電磁的記録で作成し、本人が全文を朗読して録音・録画する方式。証人を要する案と要さない案があり、後者では本人確認機能を備えたアプリの利用が想定される。第二の乙案は、遺言を電磁的記録として作成し、公的機関に保管する方式で、申請時に全文を朗読する。第三の丙案は、プリントアウトした書面を公的機関に保管する方式。乙案・丙案については家庭裁判所の検認を不要とする方向も示されている。

また、自筆証書遺言に関しては、財産目録について自書を不要とする現行制度を維持し、さらに範囲を広げない方針が示された。一方で、押印要件については不要とする案と、現行維持案の両論が検討対象となっている。

全体として、中間試案は偽造・変造の防止といった真正性確保を維持しつつ、デジタル技術を踏まえた利用しやすさと柔軟性を高める内容となっている。

日本ビズアップ株式会社 発行「NEWSWAVE」より)

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